FineArt-アラスカの雄鹿.jpg

アラスカの雄鹿

Chugachi State Park, Alaska 2015

5 x 7 in / 12.7 x 17.8 cm / Open Edition
8.5 x 11 in / 21.6 x 27.9 cm / Open Edition
13 x 19 in / 33 x 48.3 cm / Open Edition
16 x 24 in / 40.6 x 61 cm / Open Edition
20 x 30 in / 50.8 x 76 cm / Open Edition
32 x 48 in / 81.3 x 122 cm / Open Edition


チュガッチ山脈の渓谷は、オスもメスも、仔を連れた母親のヘラジカまでもが集まる、約束の場所になっている。

 夏に単独で動いていたオスのヘラジカも、この一時期だけ、群れを成したように他のオスたちと行動をともにする。そして、朝日がのぼる前の薄明の時刻から、成長させた大きく硬い角を、互いに激しくぶつけ合う。力の強い者だけが、子を残す事ができるという彼らが決めているおきてに従って。

 数日間続けて観察していると、オスのヘラジカは、互いの角を突き合わせるという行動を、朝と夕方にだけすることが見えてきた。それ以外の時間は、他のオスたちと共に草を食んだり、隣り合って昼寝をしている。

 この様子を見ていると、子孫の繁栄をかけたオス同士の争いは、命をかけたぶつかり合いなのではなく、なにか儀式に近いもののように見えてくる。

 その儀式はいつも、相手を見極めることからはじまる。無作為に相手を選んで角を突き合わせているわけではない。体の大きさが均等な者同士が近づいていき、目に見えない様々なやり取りがあったあと、ようやく土俵に上がり、正対してから角を絡め合う。そのやり取りの中の、目ではなく耳で相手をみるという行為は、対峙に入る前に相手を見極めようとする、緊迫したひとつの所作である。

 こういった視点から見ていると、人だけでなく動物もまた、文化や風習を持っているのではないかと思えてならない

 
 

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